銭洗弁財天宇賀福神社は、神奈川県鎌倉市佐助に位置する神社であり、特に「銭洗弁天(ぜにあらいべんてん)」として広く知られています。この神社は、境内の洞窟に湧き出る清水で硬貨などを洗うと財運が増すと伝えられ、訪れる人々に福をもたらす神聖な場所として人気を集めています。
銭洗弁財天宇賀福神社の創建には、源頼朝の夢のお告げが関わっています。文治元年(1185年)の巳年に、頼朝は宇賀福神から「この地に湧き出す水で神仏を供養すれば、天下泰平の世が訪れる」との夢のお告げを受けました。頼朝はこれを信じ、佐助ヶ谷の岩壁に湧く霊水を発見し、その地に洞窟を穿ち、宇賀福神を祀る神社を建立しました。
その後、正嘉元年(1257年)の巳年に、5代執権北条時頼がこの霊水で銭を洗い、一族の繁栄を祈願したことが、現在の銭洗いの風習の始まりとされています。
宇賀神と弁財天は、神仏習合の影響を受け、弁財天として一体化しました。当時、この神社は相馬天王(扇ガ谷)の末社として存在していました。しかし、明治時代の神仏分離により、相馬天王は八坂大神と改称され、当社も祭神を市杵島姫命に変更しました。1970年(昭和45年)には、末社から独立して現在の形となりました。
銭洗弁財天宇賀福神社の境内は、四方を急峻な崖で囲まれており、入り口は隧道(ずいどう)となっています。この隧道は、第二次世界大戦の頃までは存在せず、現在「裏参道」と呼ばれる南側の細い参道が本来の入口でした。
本宮には市杵島姫命が祀られており、奥宮は本宮の横の洞窟に位置しています。この洞窟には湧き出る清水があり、「銭洗水(ぜにあらいみず)」と呼ばれ、鎌倉五名水の一つとして数えられています。奥宮には宇賀神と弁財天が祀られており、参拝者は銭洗水で硬貨や紙幣を洗い、財運向上を祈願します。
境内には、上之水神社、下之水神社、七福神社の3社が鎮座しており、それぞれが地域の信仰を集めています。
銭洗弁財天宇賀福神社の名物の一つとして、「願いかなう茄子守」が販売されています。この御守りは、古来より茄子が縁起物とされ、「物事を成す(成就する)」との意味が込められています。
拝観料は無料で、拝観時間は8時から17時まで(巳の日は6時から)となっています。
参拝者は以下の手順で神社を参拝します。
石のトンネルと鳥居を抜けた先にある手水舎で手を洗い、身を清めた後、社務所でお供え用の線香とろうそくを購入します。
大きなろうそくの火から火をもらい、本社脇のろうそく台にろうそくを供えます。線香にも火をつけ、線香台に納めたら、煙で浴びて身を清めます。
洞窟の中へ進み、奥宮を参拝します。その後、借りたざるにお金を入れて、柄杓(ひしゃく)で3杯ほど銭洗水をかけて清めます。清めたお金は「使う派」「使わない派」に分かれるそうですが、使った方が御利益があると言われています。
銭洗弁財天宇賀福神社では、以下のような祭事や年中行事が行われます。
銭洗弁財天宇賀福神社へのアクセスは、以下の通りです。
なお、駐車場は無料ですが、土曜日・日曜日と巳の日は進入禁止となるため、事前に確認が必要です。