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常楽寺

(じょうらくじ)

常楽寺は、神奈川県鎌倉市大船に位置する臨済宗建長寺派の寺院で、山号は「粟船山(ぞくせんざん)」と称されます。本尊は阿弥陀三尊で、嘉禎3年(1237年)に北条泰時が創建し、開山(初代住職)は退耕行勇によります。

常楽寺の歴史

常楽寺は、もともと「粟船御堂(あわふねみどう)」として知られ、北条泰時の夫人の母の追善供養のために建てられました。創建当時は密教系寺院、また浄土系寺院としての性格も持っていましたが、次第に禅宗色が強まり、後に臨済宗の寺院となりました。

建長年間、執権北条時頼によって宋から招かれた禅僧、蘭渓道隆が常楽寺の住持となり、中国風の禅宗を広めました。この時期、寺には多くの僧侶が蘭渓の教えを受けるために訪れました。

その後、建長寺が創建され(落慶供養は建長5年(1253年))、鎌倉における禅宗の中心寺院となりましたが、それでも臨済宗建長寺派の中で「常楽は建長の根本なり」として重視され続けました。

伽藍と建造物

仏殿

仏殿は元禄4年(1691年)に建立され、神奈川県指定重要文化財に指定されています。本尊として阿弥陀如来像が安置されており、脇侍として観音菩薩像、勢至菩薩像、さらに蘭渓道隆像が祀られています。天井には狩野雪信筆の「雲龍図」が描かれています。

山門

山門は17世紀ごろに建立され、鎌倉市の指定有形文化財です。茅葺の四脚門として、その風格が現代にまで伝わっています。

文殊堂

文殊堂には、蘭渓道隆ゆかりの文殊菩薩坐像が安置されています。この仏像は神奈川県指定重要文化財に指定されており、秘仏として1月25日の文殊祭の時のみ開帳されます。

文化財と重要文化財

木造阿弥陀如来及び両脇侍像

仏殿の本尊である阿弥陀如来像と両脇侍像は、鎌倉市の指定有形文化財に指定されています。中尊である阿弥陀如来の台座内には、仁治3年6月12日(1242年7月11日)の銘があり、北条泰時が極楽往生を祈願して造立したものとされています。

梵鐘

宝治2年3月21日(1248年4月16日)の銘がある銅製の梵鐘は、国の重要文化財に指定されています。この梵鐘は、建長寺・円覚寺の梵鐘とともに「鎌倉三名鐘」と称されています。なお、常楽寺という寺名が確認できる最も古い史料がこの梵鐘の銘文です。現在、梵鐘は鎌倉国宝館に寄託されています。

木造文殊菩薩坐像

この仏像は鎌倉時代の作で、神奈川県指定重要文化財に指定されています。秘仏として文殊堂に安置されており、毎年1月25日に行われる文殊祭の時のみ開帳されます。永禄10年(1567年)には甘粕長俊によって修理が施されました。

木造釈迦如来坐像

南北朝時代の作で、鎌倉市の指定有形文化財に指定されています。この仏像もまた、常楽寺の貴重な文化財の一つです。

その他の史跡

北条泰時墓と南浦紹明墓

仏殿の背後には、北条泰時の墓と南浦紹明の墓が存在します。

木曽塚

木曽義高の墓と伝えられる塚で、裏山の中腹に位置しています。もともと木曽塚は常楽寺の西南約100メートルほどの場所にありましたが、延宝8年(1680年)2月に現在の位置に移されました。この木曽塚の付近には、義高の許嫁である大姫の墓と伝わる塚や、木曽塚の由縁を刻んだ石碑が建てられています。この石碑は鎌倉同友会が大正15年(1926年)に建てたものです。

交通アクセス

常楽寺へのアクセスは、大船駅から徒歩15分、または江ノ電バスの「常楽寺」バス停で下車して徒歩5分です。車で訪れる場合は、神奈川県道21号横浜鎌倉線の常楽寺交差点から大船駅方面へ向かう市道に入り、100メートルほど先を右折すると山門に到着します。

Information

名称
常楽寺
(じょうらくじ)

鎌倉

神奈川県