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浄智寺

(じょうちじ)

浄智寺は、神奈川県鎌倉市山ノ内に位置する臨済宗円覚寺派に属する禅宗の寺院です。山号は金宝山といい、鎌倉五山の第四位に位置しています。本尊は阿弥陀如来・釈迦如来・弥勒如来の三世仏で、それぞれ過去・現在・未来を象徴しています。浄智寺の境内は「浄智寺境内」として国の史跡に指定されており、歴史的価値の高い寺院です。

浄智寺の歴史

浄智寺は、鎌倉幕府第5代執権である北条時頼の三男・北条宗政の菩提を弔うために、弘安4年(1281年)に創建されました。開基は宗政の子である北条師時とされますが、当時師時は8歳であり、実際の創建は宗政の妻と兄・北条時宗によるものとされています。開山には日本人僧の南州宏海が招かれましたが、彼は尊敬する宋出身の高僧兀庵普寧を開山に迎え、自身は準開山となりました。

浄智寺はその後も高峰顕日や夢窓疎石らの名僧が住持し、最盛期には七堂伽藍を備え、塔頭も11寺院に達する大寺院となりました。しかし、15世紀半ばころから徐々に衰退し、江戸時代末までには塔頭8院を維持するのみとなりました。大正12年(1923年)の関東大震災で大部分が倒壊し、現在の伽藍は主に昭和に復興されたものです。

浄智寺の境内

参道と鐘楼門

浄智寺の境内は東慶寺の東、建長寺の西南にある谷戸に位置し、参道は砂岩の一種である鎌倉石で舗装されています。重層一間一戸の鐘楼門は、上層が鐘楼を兼ねている珍しい形式のもので、中国風の意匠が特徴です。この門をくぐると、本尊の三世仏を安置する曇華殿(仏殿)があります。

境内の風景

浄智寺の境内は豊かな樹木や竹林に囲まれており、起伏に富んだ地形には鎌倉周辺で見られる「やぐら」と呼ばれる横穴がいくつも掘られています。これらのやぐらには石仏や石塔が安置され、また鎌倉江ノ島七福神の一である布袋像や観音像を祀るやぐらも存在します。

墓地と甘露の井

本堂の裏には澁澤龍彦の墓があり、境内入り口には鎌倉十井の一つ「甘露の井」があります。寺の裏山からは源氏山に抜けることができ、全山が国の史跡に指定されています。

文化財と重要文化財

彫刻と古文書

浄智寺には、鎌倉時代後期に作られた木造地蔵菩薩坐像や、建長寺塔頭の再建費用を集めるために書かれた紙本墨書西来庵修造勧進状などの重要文化財が数多く存在します。また、浄智寺境内は1966年(昭和41年)に国の史跡に指定されており、歴史的価値の高い遺跡として保存されています。

神奈川県指定文化財

浄智寺には、木造三世仏坐像や銅鐘などの神奈川県指定文化財も多く保存されています。これらの文化財は、室町時代中期や鎌倉時代後期に作られたもので、当時の技術と信仰の象徴です。

交通アクセス

浄智寺へのアクセスは、JR東日本の横須賀線・北鎌倉駅から徒歩10分の距離にあります。歴史と自然が調和したこの寺院を訪れることで、鎌倉の歴史と文化を身近に感じることができるでしょう。

Information

名称
浄智寺
(じょうちじ)

鎌倉

神奈川県