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明月院(あじさい寺)

(めいげついん)

澄み切ったブルーの花と絵画のような美しさの悟りの窓

明月院は、神奈川県鎌倉市山ノ内に位置する臨済宗建長寺派の寺院で、正式には福源山明月院と称されます。

紫陽花の景色から「アジサイ寺」としても知られ、その美しさは圧倒的です。雨の季節に訪れると、明月院ブルーと呼ばれる澄み切ったブルーに染まった世界を見ることができます。

院内には約2500株の紫陽花があり、梅雨の時期こそ楽しめる絶景スポットです。あじさいの開花期は通常、5月下旬から7月上旬までで、ピークは6月中旬から下旬ごろです。この時期には多くの観光客が訪れ、賑わいを見せます。

明月院の起源は平安時代後期に遡り、山内俊通の供養のために創建された「明月庵」に始まります。本尊は聖観音で、開基は上杉憲方、開山(初代住職)は密室守厳です。また、伝・北条時頼の墓所が境内に存在しています。

紫陽花寺としての明月院

現在の明月院は「紫陽花寺」として非常に有名で、特に紫陽花のシーズンには多くの観光客が訪れます。紫陽花が植えられたのは比較的近年のことで、第二次世界大戦後に物資や人手が不足する中、参道を整備する杭が足らず、その代わりに「手入れが比較的楽だから」という理由で紫陽花が植えられました。それが次第に有名となり、現在では明月院ブルーとも称される淡い青の紫陽花が境内を彩っています。

また、紫陽花以外にも一年中多くの花が咲き誇り、紅葉の時期も美しく、冬には蝋梅、春には梅と桜が見られます。これらの美しい花々を楽しむだけでなく、枯山水庭園や丸窓、明月院やぐらも見どころのひとつです。特に本堂(紫陽殿)に設けられた「悟りの窓」と呼ばれる方丈内の円窓から眺める景色は、鎌倉を代表する絶景として知られており、四季折々の美しさを額に入れた絵画のように楽しむことができます。

明月院の境内

あじさい寺としての魅力

明月院は「紫陽花寺」として広く知られており、境内には数千本もの淡い青色の紫陽花が植えられています。この紫陽花は「明月院ブルー」として親しまれており、梅雨の時期には多くの観光客で賑わいます。また、境内には紫陽花以外にも四季折々の花が咲き乱れ、一年を通じて訪れる人々を楽しませてくれます。さらに、明月院の境内全域は国の史跡に指定されており、歴史的価値も高い場所です。

明月院のあじさい

明月院のあじさいは「姫あじさい」という品種で、青い花が丸く咲いており、まるで手まりのような美しさです。植物学者の牧野富太郎氏によって名付けられました。

雪国で生まれたあじさいの枝はしなやかで垂れ下がり、まるでおじきのように見えます。花の色は咲き始めから徐々に濃くなり、澄み切った青から深いブルーに変化します。雨の日や早朝、夕方の柔らかい光の中で美しい姿を見せてくれます。

梅雨時期だけでなく、四季折々の景色の変化も楽しめます。境内全体が国の史跡に指定されており、いつ訪れても風情が漂っています。

歴史的建造物と庭園

明月院の境内には、さまざまな歴史的建造物や庭園が点在しています。例えば、1380年頃に建立された開山堂には、密室守厳の木造や歴代住持の位牌が祀られています。また、「明月院やぐら」と呼ばれる鎌倉最大級のやぐらも見どころの一つで、壁面には多宝如来や釈迦如来、十六羅漢の浮き彫りが施されています。これらの彫刻は非常に珍しく、訪れる価値があります。

悟りの窓

山門をくぐると、左手に本堂である「方丈」があり、聖観世音菩薩が祀られています。方丈にある円窓は「悟りの窓」とも呼ばれ、四季折々の風景が庭園を通して切り取られており、まるで絵画のような美しさです。

また、かつて関東十刹の一つとして名を馳せた名園である「後庭園」が悟りの窓の向こうに広がっています。この後庭園は、12月の紅葉の時期と6月の花菖蒲の開花期にのみ特別公開されます。

庭園

広大な園内には、花菖蒲園があり、特に6月に見頃を迎える花菖蒲の美しさは素晴らしいものです。明月院の境内があじさいで彩られる時期には、後庭園の奥にも様々な種類の花菖蒲が咲き誇っています。

また、方丈の前には枯山水の庭園があり、晩春には白い砂を背景に優美に咲くしだれ桜が美しい景色を演出します。本堂後庭園は通常非公開ですが、花菖蒲の開花期と紅葉期には特別に公開され、その美しさを堪能することができます。

その他の見どころ

明月院には、その他にも見逃せない場所が多数あります。鎌倉十井のひとつである「瓶の井」は、現在でも使用されている井戸で、「甕の井」とも呼ばれています。

旧本堂である「開山堂」周辺は、時がゆっくりと流れる癒しの場所です。方丈から奥に進むと、山に囲まれた開山堂があります。建立されたのは享保4年(1719年)で、最も古い建物の一つです。堂内には密室守厳像が祀られています。

周囲に広がる自然の息吹を感じながら深呼吸すると、心が穏やかになっていきます。

明月院には中世鎌倉時代の歴史的な遺産である洞窟墳墓である「やぐら」もあります。明月院のやぐらは、現存するものの中で最大のもので、「明月院やぐら」と呼ばれています。

壁面には釈迦や多宝の仏像、十六羅漢が浮き彫りにされており、中央には大きな石造りの宝篋印塔が据えられています。

井戸も鎌倉十井の一つで、岩盤を掘り貫いて作られていると考えられています。井戸内部には水瓶のような膨らみがあり、「瓶の井」と呼ばれています。現在も良質な水が湧き出ており、周囲には季節の花が飾られています。

願いを込めた絵馬や季節の花を捧げた「花想い地蔵」もあります。あじさいの季節にはあじさいが飾られ、その美しい景色が広がります。

また、竹林もあり、爽やかな風がさわさわと吹き抜けます。ベンチも設置されており、静かな時間を過ごすことができます。

休憩やお茶の時間を楽しむなら、「月笑軒」という茶処があります。ここでは水琴窟のある庭園を眺めながら、お抹茶やお菓子を味わうことができます。また、総門の近くにはご朱印所があります。

明月院には一年を通じて梅、木瓜(ボケ)、そして様々な花が楽しめます。円窓からの庭の風景や枯山水、明月院やぐら、北条時頼の墓など、日本の寺院の風情も見学しながら歴史を感じることができます。

明月院の歴史

明月院は、山内上杉家の祖であり、関東管領であった上杉憲方によって、密室守厳を開山として開創されました。憲方の没年は応永元年(1269年)であり、それ以前に明月院が創建されたとされています。

寺伝によれば、平治の乱で没した山内首藤俊通の菩提を弔うために、その子である経俊が永暦元年(1160年)に「明月庵」を建立したことが草創とされていますが、実際の開基は憲方と考えられています。明月院はかつて禅興寺という寺の塔頭でありましたが、禅興寺は明治初年頃に廃絶し、現在では明月院のみが残っています。

禅興寺の起源は鎌倉幕府5代執権・北条時頼にまで遡ります。時頼は別邸に持仏堂を造営し、最明寺と名付けましたが、時頼の死後に廃絶していました。その後、時頼の息子である北条時宗が蘭渓道隆を開山として再興し、禅興寺と改名されました。境内には伝・北条時頼の墓所もあります。

現在の明月院

現在の明月院は「紫陽花寺」として有名であり、紫陽花のシーズンには非常に混雑します。この寺院で紫陽花が植えられるようになったのは比較的最近のことで、第二次世界大戦後、参道の整備に使う杭が不足していたため、その代わりに紫陽花が植えられたのだそうです。

紫陽花以外にも一年中花が咲き、紅葉も美しいです。冬には蝋梅、春には梅や桜が咲くなど、四季折々に美しい花々を楽しむことができます。

また、枯山水庭園や丸窓、明月院やぐらも見どころです。特に本堂(紫陽殿)にある「悟りの窓」と呼ばれる方丈内の円窓からは、鎌倉を代表する絶景が広がります。四季の美しさを丸い額に切り取った絵画のように鑑賞することができます。

境内

明月院は「あじさい寺」として知られており、境内には数千本の淡い青いあじさいが咲き誇っています。この美しいあじさいは「明月院ブルー」とも称されています。また、あじさいだけでなく、四季を通じて多くの花々が植えられています。境内全体が国の史跡に指定されています。

境内には以下のような建造物やスポットがあります:

文化財と重要文化財

彫刻と絵画

明月院には、木造上杉重房坐像や紙本著色玉隠和尚像など、数多くの重要文化財が所蔵されています。これらの文化財は鎌倉時代や室町時代に作られたもので、鎌倉国宝館に寄託されています。また、明月院境内は1984年(昭和59年)に国の史跡に指定されており、歴史的価値が高い遺産として保存されています。

神奈川県指定文化財と鎌倉市指定文化財

明月院には、塑造北条時頼坐像などの神奈川県指定文化財や、絹本著色中峰和尚像などの鎌倉市指定文化財も数多く存在しています。これらの文化財は、鎌倉時代から現代に至るまでの歴史と文化を今に伝える重要な遺産です。

交通アクセス

明月院へのアクセスは、JR横須賀線の北鎌倉駅から徒歩10分の距離にあり、また鎌倉駅からは江ノ島電鉄バスに乗り、「明月院」バス停で下車して徒歩5分です。紫陽花が美しい季節や紅葉の時期には、ぜひ一度足を運んで、その歴史と自然の美しさを堪能してみてください。

Information

名称
明月院(あじさい寺)
(めいげついん)
リンク
公式サイト
住所
神奈川県鎌倉市山ノ内189
電話番号
0467-24-3437
営業時間

6月 8:30~17:00、6月以外 9:00~16:00

料金

拝観料
高校生以上:500円
小中学生:300円

本堂後庭園 公開
拝観料と改めて500円

駐車場
駐車場はありません
アクセス

JR北鎌倉駅から徒歩で10分

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