神奈川県 » 鎌倉

寿福寺

(じゅふくじ)

寿福寺は、神奈川県鎌倉市扇ガ谷に位置する臨済宗建長寺派の寺院で、正式には亀谷山寿福金剛禅寺(きこくさん じゅふくきんごうぜんじ)と号します。寿福寺は、鎌倉五山の第三位に位置する格式高い寺院であり、その本尊は釈迦如来です。創立者は北条政子、初代住職は栄西で、鎌倉三十三観音霊場の第24番、鎌倉二十四地蔵の第18番に指定されています。また、境内は「寿福寺境内」として国の史跡に指定されており、歴史的にも文化的にも重要な存在です。

歴史

寿福寺の創建は、源頼朝が没した翌年である1200年(正治2年)にさかのぼります。頼朝の妻である北条政子が、葉上房栄西(明菴栄西)を開山に招いて建立しました。寿福寺が建てられた場所は、もともと源氏山を背にした亀ヶ谷と呼ばれる地で、源頼朝の父・源義朝の旧邸もこの地にありました。この地は、頼朝が鎌倉に初めて入った際に館(幕府)を構えようとした場所でもあります。

創建当時、寿福寺は七堂伽藍を擁し、14の塔頭を有する大寺院でありましたが、1247年(宝治3年)と1258年(正嘉2年)の二度にわたり火災に見舞われ、その後の復興は南北朝時代に行われたと考えられています。この時期には、寿福寺には多くの名僧が入寺し、鎌倉の禅宗文化の発展に大きく寄与しました。

境内の見どころ

寿福寺の境内には、総門、中門、仏殿、庫裏(くり)、鐘楼などが建ち並んでいます。仏殿は1664年(寛文4年)に再建されたもので、歴史的価値が高い建造物です。また、境内裏手の墓地には、陸奥宗光、高浜虚子、星野立子、大佛次郎などの著名人の墓があり、さらにその奥には北条政子と源実朝の墓と伝わる五輪塔があります。

寿福寺の境内は、総門から中門までの参道と裏山の墓地が一般公開されていますが、中門から内側の境内は一般公開されていません。

文化財

寿福寺には、国指定重要文化財として、木造地蔵菩薩立像や銅造薬師如来坐像(鶴岡八幡宮伝来)などがあります。木造地蔵菩薩立像は鎌倉時代に作られたもので、像高167.5センチメートル、一木造で非常に珍しい構造を持っています。銅造薬師如来坐像は、鎌倉時代に作られた像で、左手に薬壺を持ち、細部にまで精巧な装飾が施されています。

また、喫茶養生記 上・下(明庵栄西の著)も文化財に指定されており、茶の効能や製法について記された重要な医書です。その他にも、鎌倉市指定文化財として多くの貴重な仏像や建造物が保存されています。

交通アクセス

寿福寺へのアクセスは、横須賀線(JR東日本)および江ノ島電鉄の「鎌倉駅 西口」から徒歩15分です。歴史と文化に触れながら、静かで荘厳な雰囲気の中を散策することができる寿福寺は、多くの観光客や歴史愛好者に親しまれています。

最後に

寿福寺は、その豊かな歴史と文化財に彩られた寺院であり、鎌倉の禅宗文化の象徴とも言える存在です。現在も多くの人々が訪れ、静寂の中で歴史に思いを馳せる場所として大切にされています。鎌倉を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

Information

名称
寿福寺
(じゅふくじ)

鎌倉

神奈川県