国定公園にも指定されている丹沢山地の東端に位置する標高1252メートルの大山は、豊かな自然と良質な水源を有し、頂上にある阿夫利神社には伊勢神宮にもある「八咫の鏡」が祭られ、信仰の対象としても親しまれてきた。
その大山周辺の旅館や店では、丹沢山系から流れる澄んだ水を使って大山豆腐を作って提供している。
コース料理として供されることが多く、大山のおいしい水を使うことはもちろん、各店で趣向を凝らし、素材となる大豆にもこだわって豆腐の持つ本来の味を楽しませてくれる。
標高1,252メートルの大山は、丹沢大山国定公園に位置し、丹沢山系の清らかな水を活かして豆腐が特産品として知られています。この豆腐は水分が多く、柔らかく、さっぱりとした味わいが特徴です。地元の家庭では、さまざまな豆腐料理が楽しまれていますが、その原点は素材の味を生かす「冷奴」と「湯豆腐」です。
大山は、相模湾の水蒸気を受けて雨が多く降る地形で、かつて「雨降山(あめふりやま)」と呼ばれ、その後「阿夫利山(あふりやま)」とも呼ばれるようになりました。この山は古代から霊山として信仰を集めており、縄文時代から崇められてきました。江戸時代には、3~4日で往復できる距離だったため、雨乞いや商売繁盛の祈願を兼ねて多くの人々が大山を訪れました。江戸時代のピークでは、ひと夏に20万人もの参拝客が大山に足を運んだとされています。
大山の豆腐は、地元の清水と各地から奉納された大豆を使って作られるように始まりました。かつて、夏の暑い日に参拝客が手のひらに乗せた豆腐をすする姿が伝えられています。周辺の宿でも豆腐料理が提供され、地域の名物として定着していきました。2016年には「大山詣り」が日本遺産として認定され、豆腐料理もその一環として認識されています。
大山豆腐は一年中楽しむことができます。地元の家庭では、毎日の食卓に欠かせない食材として親しまれ、さまざまな料理が楽しまれています。冷奴や湯豆腐はもちろんのこと、地元の山菜や柿などの季節の食材と合わせて楽しむ「白和え」や、焼いた豆腐をみそだれとともに味わう「豆腐の田楽」なども人気のメニューです。