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エリスマン邸

(Ehrismann Residence)

エリスマン邸は、神奈川県横浜市中区元町の元町公園内に位置する西洋館です。建物は、スイス人貿易商フリッツ・エリスマンの邸宅として1925年から1926年にかけて建設され、現在もその美しい姿を保っています。

歴史

建設と設計

エリスマン邸は、横浜市中区山手127番地に建設されました。設計は、チェコ出身の建築家アントニン・レーモンドによるもので、彼は帝国ホテル建設の際にフランク・ロイド・ライトに同行し、日本で独立した建築家としてのキャリアを積みました。この建物は、レーモンドが独立した後の初期の作品の一つであり、彼の建築理念である「自然、単純、直截、正直、経済的」という5原則に基づいて設計されています。

解体と復元

フリッツ・エリスマンの死後、エリスマン邸は数度にわたり所有者が変更されましたが、第二次世界大戦の被害を免れました。しかし、1982年にマンション建設のため解体されることが決定しました。この歴史的建造物の価値を見出した横浜市は、建物の部材を買い取り、1990年に元町公園内に移築・復元しました。この復元作業により、エリスマン邸は再び蘇り、2001年には横浜市認定歴史的建造物として選定されました。

建築の特徴

外観と構造

エリスマン邸は、地上2階・地下1階建ての木造建築です。屋根の勾配が緩やかで、1階と2階の間には庇が設けられており、水平性を強調するデザインが施されています。外壁には1階部分に垂直方向の堅羽目板、2階部分に水平方向の下見板が使用され、異なる素材が組み合わされています。また、2階の壁面にはバルコニーが設けられ、屋根の寄棟造が単調な直方体を避けるために工夫されています。

内部のデザイン

エリスマン邸の内部は、1階には応接間や台所、居間兼食堂が配置され、2階には寝室や浴室が配置されています。建物全体にはスチーム暖房が採用されていますが、施主の要望により応接間には暖炉が設けられています。また、エリスマンの妻が日本人であったため、浴室とトイレは独立した造りになっています。設計者であるレーモンドは、フランク・ロイド・ライトの影響を受けつつも、独自のデザインを追求し、細部に至るまでこだわりが感じられます。

現代の利用状況

現在、エリスマン邸は元町公園の施設として一般公開されており、無料で館内を見学することができます。2階では山手や洋館に関連する資料が展示され、台所は「しょうゆきゃふぇ」として改装され、醤油パンや生プリンなどが提供されています。また、地下部分は貸ホールとして展覧会やイベントに利用されています。エリスマン邸は、みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩8分、JR根岸線および市営地下鉄桜木町駅から神奈川中央交通バス11系統で「元町公園前」下車後すぐの場所に位置しています。なお、第2水曜日は休館日となっています。

フリッツ・エリスマンについて

フリッツ・エリスマン(Fritz Ehrismann、1867年-1940年)は、スイス・チューリッヒ出身の貿易商で、生糸商社シーベル・ヘグナー商会の支配人として1888年に来日しました。彼はその後、日本で長く暮らし続け、1940年に亡くなるまで日本での生活を楽しみました。彼の没後は、横浜外国人墓地に埋葬され、現在もその名が語り継がれています。

Information

名称
エリスマン邸
(Ehrismann Residence)

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