海南神社は、神奈川県三浦市三崎に鎮座する歴史ある神社です。三崎漁港から市街地を少し山手に入った地点に位置し、相模国三浦総鎮守として知られています。藤原資盈（ふじわらのすけみつ）やその后である盈渡姫（みつわたりひめ）、そして三浦七福神の一つである筌龍弁財天（せんりゅうべんざいてん）をはじめ、地主大神などが祀られています。
海南神社の歴史は、清和天皇の治世に始まります。藤原資盈は、皇位継承争いに巻き込まれ左遷され、貞観6年（864年）に筑紫国への途上で暴風により三浦半島に漂着しました。地元の長として推戴され、その後、房総の海賊を平定し、地元民から崇敬を集めました。貞観8年（866年）に資盈が没すると、地元民は彼を祀る祠を建て、その後の天元5年（982年）に現在の地に社殿が建立され、三浦郡の総社としての地位を確立しました。
治承4年（1180年）、源頼朝の挙兵に呼応した和田義盛は、暴風雨により海路で難を逃れましたが、筌（うけ）という竹製の漁具を用いて魚を捕り、危機を乗り越えました。その後、筌を祀り弁財天堂を建立しました。また、文治元年（1185年）には、頼朝が祈願成就の記念として、雌雄の大銀杏の御神木を寄進したと伝えられています。
海南神社の境内には、多くの見どころがあります。本殿は神明造、幣殿は切妻造、拝殿は権現造で、それぞれの建物は風格があります。また、源頼朝が植えたとされる御神木もあり、特に雄株は龍神様の形をしていることから信仰の対象となっています。11月には銀杏が実り、社務所で販売されます。これらの樹木は三浦市指定天然記念物となっており、樹齢は約800年です。
龍神様の御神木は、雄株が龍神様の形をしており、母乳の出が良くなると信じられている雌株は、枝が垂れ下がっている様子が女性の乳房に似ていることから、多くの女性が願掛けに訪れます。また、この雌株の近くには「子産石（こうみいし）」と呼ばれる石があり、良縁や子宝、安産のご利益があるとされています。
海南神社の境内には、龍神社や水神社、疱瘡神社などがあり、それぞれが特定のご利益をもたらすとされています。例えば、龍神社は運気隆昌や水難除、商売繁盛などに効果があるとされ、疱瘡神社は疱瘡退散やウイルス除、武道向上を