横浜開港資料館は、神奈川県横浜市中区に位置する近代史系の歴史資料館です。この資料館は、横浜港の開港に関する貴重な資料を収蔵・展示しており、日本の近代史を理解するうえで重要な施設です。場所は、観光地としても有名な山下公園の近くにあり、歴史散策の一環として多くの方々が訪れています。
横浜開港資料館は、1981年(昭和56年)に設立されました。資料館の建物は、元英国領事館として1931年に建築されたもので、1972年(昭和47年)まで領事館として使用されていました。この歴史的建物が資料館として再利用され、横浜港の開港にまつわる資料を展示しています。館内には、明治時代から昭和時代にかけて日本で発行された外国語や日本語の新聞が数多く保存されており、閲覧室でそれらの貴重な資料を閲覧することができます。
資料館の中庭には、高さ12メートル、幅8メートルを超える大きなタブノキ「玉楠の木(タマクスの木)」が立っています。この木は、ペリー来航時の石版画にも描かれており、歴史的な価値が非常に高いものです。1866年(慶応元年/慶応2年)の大火や1923年(大正12年)の関東大震災など、数々の災害を乗り越えて再生してきたこの木は、「日米和親条約締結の地に残るタブノキ」として横浜市の史跡に指定されています。さらに、横浜開港の象徴として広く知られており、2009年に開催された「開国博Y150」のマスコットキャラクター「たねまる」も、この玉楠の木の精霊という設定でデザインされました。
横浜開港資料館は、みなとみらい線日本大通り駅から徒歩2分という便利な場所に位置しています。このため、観光やビジネスで横浜を訪れる方々にとって、非常にアクセスしやすい施設となっています。
横浜開港資料館は、幕末から昭和期にかけての横浜に関する約25万点の資料を所蔵しており、横浜の歴史や文化、港湾、経済に関する膨大な情報を提供しています。これらの資料は、研究者だけでなく、一般の来館者にも広く公開されており、横浜の歴史を学ぶ貴重な機会を提供しています。
横浜開港資料館には、個人や団体、行政機関によって残された多くの歴史資料が所蔵されています。これらの文書記録類は、横浜の歴史を具体的に理解するための重要な資料であり、研究者にとって非常に価値のある情報源となっています。
資料館では、主に横浜市や神奈川県が発行した刊行物を所蔵しています。これらの行政資料は、横浜の都市計画や行政の変遷を知るために欠かせないものであり、都市の発展過程を詳細に記録しています。
横浜開港資料館では、横浜毎日新聞や横浜貿易新報、横浜商工会議所月報など、神奈川県内で発行された新聞や雑誌の複製を公開しています。また、外国人居留地で発行された外国語の新聞・雑誌も所蔵しており、当時の横浜における国際交流の様子を知ることができます。
戦前期に刊行された図書や資料集、人名録なども、横浜開港資料館の所蔵品として保存されています。これらの文献資料は、当時の社会や経済、文化を理解するうえで重要な役割を果たしています。
資料館では、瓦版や浮世絵、写真、芝居番付、絵画、絵葉書など、視覚的に当時の様子を伝える資料も多数所蔵しています。これらの画像資料は、歴史を視覚的に学ぶための貴重な資料であり、当時の風俗や文化を鮮やかに蘇らせます。
横浜開港資料館には、約300点の地図や横浜市作成の3000分の1地形図、建築図面なども所蔵されています。これらの地図・図面は、都市の変遷や建築物の設計に関する貴重な情報を提供しており、都市計画の研究にも役立っています。
さらに、横浜開港資料館は、相原良一氏、五味亀太郎氏、ポール・ブルーム氏、ドン・ブラウン氏などの個人収集家が残した資料や蔵書も所蔵しています。これらの個人コレクションは、それぞれの収集家の視点から横浜の歴史を掘り下げることができ、非常にユニークで貴重な資料群となっています。
横浜開港資料館は、横浜の歴史や文化に関する貴重な資料を保管・展示し、次世代に伝える重要な役割を果たしています。資料館が所蔵する膨大な資料は、横浜だけでなく、日本の近代史全体を理解するためにも欠かせないものです。歴史を学び、過去を振り返ることで、現在と未来への洞察を深めることができるでしょう。