象の鼻パークは、神奈川県横浜市中区海岸通1丁目に位置する歴史と現代が交差する公園です。この公園は、象の鼻波止場を明治中期の形状に復元したもので、横浜港開港150周年を記念して2009年(平成21年)6月2日に開園しました。象の鼻パークは、みなとみらい地区の3街区に位置し、横浜港発祥の地として知られています。
この公園は、市民や観光客にとってリラックスできる憩いの場であると同時に、歴史を感じることができるスポットでもあります。今後も周辺地域の整備が進む予定で、さらに多くの人々に愛される場所となるでしょう。
象の鼻パークの歴史は、横浜港の発展と深く結びついています。1859年(安政6年)、幕府により東波止場(イギリス波止場)と西波止場(税関波止場)が建設され、これが横浜港の開港の始まりとなりました。1867年(慶応3年)には、東波止場が弓なりに湾曲した形に改築され、その独特な形状から「象の鼻」と呼ばれるようになりました。
その後、1896年(明治29年)にイギリス人技師・パーマーの設計により西波止場の先端に大さん橋が築造され、横浜港の機能はさらに拡充されました。しかし、1923年(大正12年)の関東大震災によって象の鼻波止場は大きな被害を受け、復旧時には直線的な形状に改められました。
そして、2009年、横浜開港150周年を記念して、象の鼻波止場が明治中期の姿に復元され、現在の象の鼻パークとして生まれ変わりました。この公園の設計は、小泉雅生(小泉アトリエ)が担当し、歴史的な風景を現代に蘇らせました。
象の鼻パークの中心には、明治中期の姿に復元された象の鼻防波堤があります。この防波堤は、ガス灯を模した照明灯が設置されており、関東大震災で沈んだと考えられる防波堤の一部もそのまま保存・復元されています。今日では、横浜港を見渡せる新たなビューポイントとして、多くの人々に親しまれています。
開港波止場は、日本大通りから港を感じることができる開放的な広場で、イベントなどにも利用されています。ここには、明治時代に港の荷役作業で使用された軌道と転車台の遺構が残っており、歴史の重みを感じることができます。
ピア象の鼻は、象の鼻パーク内に位置する桟橋で、港や海を間近で感じることができる場所です。ここからは、船の往来を眺めながら、横浜港の歴史に思いを馳せることができます。
開港の丘は、緩やかな斜面から港や海を見渡すことができる草地広場です。このエリアでは、ゆっくりと腰を下ろしながら港の風景を楽しむことができ、象の鼻テラスも併設されています。
象の鼻テラスは、象の鼻パーク内にある多目的スペースで、カフェも併設されています。ここには、シンボルとして「時をかける象(ペリー)」が設置されており、横浜の150年の歴史を見つめ続けてきたペリー像は、今後の横浜と人類を力強く導く対話と活力の象徴となっています。この象は、2009年に制作され、全長6m、高さ2m60cm、足のサイズ72cmという巨大なものです。
スクリーンパネルは、象の鼻パーク内の波止場を囲むようにサークル状に配置されており、夜間には照明が点灯し、美しい夜景を演出します。このエリアは、散策や写真撮影にも人気のスポットです。
象の鼻パークの整備時に発見された歴史的な遺構は、大切に保存されています。特に、以下の3箇所は歴史を感じることができる重要なポイントです。
また、この公園からはクイーンの塔(横浜税関)、ジャックの塔(横浜市開港記念会館)、キングの塔(神奈川県庁舎)という横浜三塔を一望することができる数少ないスポットの一つです。これにより、訪れる人々に横浜の歴史と景観を楽しむことができます。
象の鼻パークでは、毎年秋にイルミネーションイベント「スマートイルミネーション横浜」が開催されています。このイベントは、LED照明などの省エネルギー技術を活用し、幻想的な夜景を創り出すアートイベントとして、多くの人々に親しまれています。2010年に象の鼻テラスで開始され、翌年からは象の鼻地区以外の臨海部にもエリアを拡大して開催されるようになりました。
このイベントは、横浜市創造都市政策の一環として始まり、横浜の新たな魅力を発信する場として、年々規模を拡大しています。美しい夜景とアートが織りなす幻想的な空間は、多くの来場者を魅了しています。