万葉公園は温泉街の中心に位置する公園で、数多くの「万葉集」に登場する草花が植えられており、滝と川のせせらぎを聞きながらゆっくりと散策することができます。
この公園は「日本の歴史公園100選」にも選ばれています。落合橋の西側に広がる約2万平方メートルの敷地に造成され、自然の中を散策することができます。
かつては「権現山公園」と「大倉公園」という別々の公園がありましたが、1951年に「万葉公園」に改名され、再整備されました。
この名前は、湯河原温泉が「万葉集」において唯一和歌に詠まれている温泉であることに由来しています。湯河原温泉には多くの文人や墨客が訪れています。
歌碑をめぐったり、渓流沿いを歩きながらせせらぎの音を楽しむことができ、様々な楽しみ方があります。「万葉亭」では抹茶とお菓子を楽しむことができます。
公園内には観光施設「湯河原惣湯(Books and Retreat)」も完備されています。
施設
- 湯河原惣湯(Books and Retreat): 「湯河原観光会館」と「独歩の湯」跡地を利用して作られた観光施設です。玄関テラスと惣湯テラスの2つのエリアから成ります。
- 玄関テラス: 藤木川に架かる万葉橋の先に位置し、東側正面入り口にあります。旧「湯河原観光会館」で、無料で利用できます。
- 2階: コワーキングスペースと管理事務所
- 1階: 観光案内所とカフェ(テイクアウト可)
- 屋外: テーブル、ベンチ、足湯
- 惣湯テラス: 公園の奥側(西側)にある日帰り温泉施設で、旧「独歩の湯」の場所です。
- 施設: 温泉(男女各2か所)、サウナ、ダイニング、ラウンジ、ライブラリー
- 茶室 万葉亭: 東側から入ってすぐにある数寄屋造りの茶屋です。堀口捨己が設計しました。抹茶一杯(菓子付き)は500円です。
- 太子堂: 1960年に建立された建物で、聖徳太子の業績を称えるために建てられました。奈良の法隆寺の夢殿を模しています。建立由来の碑文は山本有三が執筆しました。
- 源泉手水
神社
- 熊野(権現)神社: 湯の守護神であり、健康の守護神としても知られる神社です。毎年5月の第4土・日曜日には「湯かけまつり」と「熊野神社例大祭」が開催されます。
- 狸福(りふく)神社: 湯河原温泉で回復した傷ついた老狸が近隣の人々に感謝を伝えたという伝説に基づき、戦後に建立された神社です。小型の鳥居が重ねられている点が特徴です。
歌碑・顕彰碑
- 万葉の歌碑: 観光会館前広場の南西、公園入り口に位置しており、万葉集の歌(佐佐木信綱の作)が刻まれています。竹内栖鳳が書いた文字が特徴です。右側にある「万葉洞門」を通ると「渓流散策路」に続きます。
- 養生園の碑: 静養先の「養生園」で過ごした東郷平八郎が大倉家族に対する感謝の言葉を刻んだ碑です。1912年に高千穂学校の川田鐵彌校長と教官が建立しました。
- 梅門の碑: 俳人で湯河原を愛した金尾梅が湯河原の椿まつりを訪れた際に作った句「声かけてほしい椿の蒼蕾(あおつぼみ)」が刻まれています。
- 国木田独歩の碑: 公園の奥部(西側)にある国木田独歩の記念碑です。独歩の作品『湯ヶ原ゆき』の末文「湯ヶ原の渓谷に向かった時はさながら雲深く分け入る思があった」が刻まれています。この碑は1936年に詩人の西條八十の提案で建立され、吉江喬松が筆を執りました。
広場など
通路
- 文学の小径: 万葉の歌碑から国木田独歩の碑までの内陸ルートです。
- 渓流散策路: 千歳川の渓流沿いを通るルートです。