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岡田美術館

(おかだ びじゅつかん)

岡田美術館は、神奈川県足柄下郡箱根町に位置する私設美術館です。東洋および日本美術のコレクションを中心に展示しており、その設立は2013年10月4日、ユニバーサルエンターテインメント創業者である岡田和生によって行われました。美術館は、古代から現代に至るまでの日本、中国、韓国の陶磁器や、日本美術の中でも特に近世および近代の日本画を収蔵しています。

所蔵品とその評価

メディアで注目された所蔵品

岡田美術館は、所蔵する作品が度々メディアで注目を集めています。例えば、1948年以降所在不明となっていた喜多川歌麿の肉筆大作「深川の雪」が2012年に発見され、2014年に岡田美術館で66年ぶりに一般公開されました。また、83年間所在不明であった伊藤若冲の「孔雀鳳凰図」も2015年に発見され、2016年に公開されました。これらの作品が再び日の目を見たことにより、美術館は一層注目を浴びることとなりました。

将棋界との関わり - 岡田美術館杯女流名人戦

2015年からは、将棋の女流名人戦の冠スポンサーとして美術館の名が冠せられ、「岡田美術館杯女流名人戦」と呼ばれるようになりました。さらに、この五番勝負の第1局は岡田美術館で行われることもあり、美術館と将棋界との新たな結びつきが生まれました。

収蔵品の紹介

日本画と重要文化財

岡田美術館には、尾形光琳の「雪松群禽図屏風」や、平安時代中期の「木造薬師如来坐像」(滋賀県蒲生郡日野町・潮音寺旧蔵)、野々村仁清による「色絵輪宝羯磨文香炉」など、貴重な日本美術が所蔵されています。これらの作品は、日本美術史において重要な位置を占めており、訪れる人々に感銘を与えています。

陶磁器とその他の美術品

また、美術館には中国や韓国の陶磁器も豊富に収蔵されており、北宋時代の「緑釉白掻落牡丹唐草紋瓶」や、伊藤若冲の「孔雀鳳凰図」なども展示されています。これらの陶磁器や絵画は、東洋美術の多様性と奥深さを示すものであり、来館者に広範な視野で美術を楽しんでもらえるよう工夫されています。

浮世絵と近代絵画

浮世絵のコレクションには、喜多川歌麿の「深川の雪」や、「三美人図」、さらに葛飾北斎の「夏の朝」など、江戸時代の名作が含まれています。また、近代絵画としては、横山大観の「霊峰一文字」や、上村松園の「汐くみ」など、20世紀の名作も展示されています。

設立の背景と美術館の特徴

岡田和生と美術館設立の経緯

岡田美術館の設立者、岡田和生は元々美術愛好者に過ぎませんでしたが、尾形光琳による「雪松群禽図屏風」との出会いをきっかけに、東洋・日本美術のコレクションに熱心になり、ついには美術館を設立するに至りました。彼が70億円を投じて設立したこの美術館は、美術品を愛する多くの人々に貴重な作品を披露する場として機能しています。

美術館の建物と展示の特色

美術館は明治時代のホテル「開化亭」跡地に建設された5階建ての施設で、その敷地面積は箱根の中でも最大級です。建物の正面には、640枚の金地パネルを用いて福井江太郎が描いた「風・刻(とき)」というタイトルの風神雷神の大壁画が飾られており、来館者を迎えます。また、美術館の前には足湯カフェが併設され、訪れる人々がリラックスしながら芸術を楽しむことができる空間が広がっています。

美術館の運営と関連事件

館長と副館長の役割

岡田美術館の館長は小林忠氏が務めており、副館長は2018年まで古美術商の寺元晴一郎氏が務めていました。寺元氏は岡田和生の古くからの友人であり、「深川の雪」の発見者でもありました。

美術館を巡る訴訟問題

2017年、設立者である岡田和生らを被告として、ユニバーサルエンターテインメントの香港子会社が香港高等法院に訴訟を提起しました。この訴訟は、美術品購入資金を巡る問題であり、寺元副館長に支払われた10億円の調達に不正があったとして、原告側が岡田らに賠償を求めたものです。この問題は、美術館運営における透明性の重要性を改めて浮き彫りにしました。

美術館のアクセス情報

住所と地理的な特徴

岡田美術館は、神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1に位置しており、箱根の豊かな自然に囲まれた立地です。美術館へのアクセスは、箱根湯本駅からのバスやタクシーが便利です。

美術館は、展示内容のみならず、その立地や施設の充実度でも訪れる価値がある場所となっています。四季折々の風景の中で、東洋・日本美術の名品を堪能することができるこの美術館は、文化的な旅の目的地としても魅力的です。

Information

名称
岡田美術館
(おかだ びじゅつかん)

箱根

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