芦ノ湖は、神奈川県足柄下郡箱根町に位置する箱根山のカルデラ湖です。箱根の美しい自然環境に囲まれたこの湖は、観光名所としても有名で、多くの観光客が訪れる場所です。
火山活動によって形成された火山湖で、湖は標高約720メートルにあり、湖面の広さは約7.0平方キロメートルです。湖の形は、円形に近いですが、湖岸は非常に複雑で、数つの入江が点在しています。湖の周囲には箱根山が広がり、その山々が湖面に映る美しい景色が楽しめます。
芦ノ湖は、神奈川県南西部に位置し、県内最大の湖であり、早川水系に属する二級河川です。その水源の大部分は湖底からの湧き水で、本来は北部(箱根町仙石原)から流れ出る早川の水源です。しかし、水利権が神奈川県側にないため、非常時(増水時など)を除いて、芦ノ湖から早川への放水は行われていません。
この湖は観光名所やリゾート施設が数多く点在することで知られ、富士山も望める景勝地として人気があります。また、毎年正月に開催される東京箱根間往復大学駅伝競走の往路ゴールおよび復路スタート地点としても有名です。
芦ノ湖では、箱根海賊船(小田急箱根、小田急電鉄系列)と芦ノ湖遊覧船(箱根遊船、富士急行系列)が運航されており、湖を周遊することができます。発着する船着き場や利用できる割引券、フリーパスが異なるため、観光計画を立てる際には確認が必要です。
釣り場としても芦ノ湖は有名で、ニジマスやブラックバスなどが放流されています。特にブラックバスは1925年に赤星鉄馬によって日本で初めて放流され、芦ノ湖はバスフィッシングのメッカとして知られています。
芦ノ湖にはニジマス、ブラウントラウト、ヒメマス、オオクチバス、コイ、フナ、ウグイ、オイカワ、ワカサギ、ヤマメ、イワナ、ヌマチチブ、サワガニ、カワニナ類などの魚貝類が生息しています。これらの魚は、釣りや観光の一環として注目されています。
芦ノ湖周辺では、ワカサギやニジマスの天ぷらが特産品の郷土料理として知られており、観光客に人気があります。また、オオクチバス(通称:ブラックバス)の天丼も提供されており、ユニークな食体験として話題です。
芦ノ湖周辺は、観光スポットやアクティビティが豊富です。以下は主な観光名所とアクティビティです:
芦ノ湖の水利権は、静岡県の裾野市、長泉町、清水町、御殿場市で構成される「静岡県芦湖水利組合」に属しており、神奈川県側では湖水利用ができません。ただし、非常時には緊急放水が行われることがあります。また、湖岸の集落である箱根、元箱根、湖尻、仙石原の下水は全て仙石原浄水センターで処理されてから早川に放流され、水質の汚濁防止策も神奈川県が担当しています。
芦ノ湖は、箱根火山のカルデラ内にある中央火口丘の一つで、成層火山である神山が約3000年前に起こした水蒸気爆発と火砕流により、山体崩壊が発生し、カルデラ内の早川を堰き止めて誕生しました。
天平宝字元年(757年)、万巻は箱根神社を建立し、その後、伝承によると人々を苦しめていた芦ノ湖の九頭龍を調伏し、現在の九頭龍神社本宮の場所に社を建てて、九頭龍を守護神として祀りました。
江戸時代には、駿河国駿東郡深良村(現在の裾野市)の名主・大庭源之丞が灌漑用に芦ノ湖から外輪山を貫通するトンネルを掘り、1670年(寛文10年)に「深良用水」を完成させました。この用水は現在、狩野川水系黄瀬川支流の深良川となっており、日本を代表する用水の一つとして農林水産省の疏水百選に選定されています。
江戸時代、箱根と深良は小田原藩の領地であったため水利権に関する問題はありませんでしたが、廃藩置県後、神奈川県と静岡県に分割され、水利権を巡る争いが起こりました。最終的には、大正時代に裁判により静岡県に水利権があるとされました。
1911年には、後に西武傘下になる芦ノ湖遊覧船の運航が開始されました。その後、1925年に日本で初めてブラックバスが放流され、1950年には箱根観光船(現:箱根海賊船)の運航が始まりました。これにより、芦ノ湖は観光地としての魅力を一層高めました。
しかし、2019年10月には、令和元年東日本台風(台風19号)によって芦ノ湖が氾濫し、港や観光施設が浸水被害を受けました。
芦ノ湖へのアクセスは、箱根登山鉄道やバスを利用するのが一般的です。箱根湯本駅からバスで約30分の距離にあり、湖の周辺には観光施設や飲食店も充実しています。自家用車での訪問も可能ですが、駐車場の混雑や駐車料金に注意が必要です。
芦ノ湖は、自然豊かな火山湖で、観光名所やアクティビティが豊富に揃っています。湖の美しい風景を楽しむだけでなく、湖周辺の観光地やアクティビティを通じて、箱根の自然や文化に触れることができます。訪れる際には、四季折々の風景や湖の魅力を堪能しながら、リラックスした時間を過ごすことができるでしょう。
小田原駅からバスで55分