箱根ターンパイクは、神奈川県小田原市から足柄下郡箱根町を経て、同県足柄下郡湯河原町に至る延長15.752キロメートル (km) の観光有料道路です。この道路は一般自動車道に分類されており、中日本高速道路(NEXCO中日本)のグループ会社である箱根ターンパイク株式会社 (HTPL)が所有・運営しています。「ターンパイク (turnpike)」という名称は、有料の高速道路やトールロードを意味します。
箱根ターンパイクは、神奈川県西部の相模湾に面する小田原市早川から始まり、箱根山芦ノ湖の南東部に位置する大観山・湯河原峠に至るまで、標高差約1000メートル (m) を走る有料の山岳道路です。この道路は箱根小田原本線(13.782 km)、箱根伊豆連絡線(1.7 km)、および西湘接続線(270 m)の3つの路線から構成されています。道路運送法に基づく自動車道であり、道路交通法が適用されることから一部車両通行規制が行われています。自動車とオートバイは通行可能ですが、125 cc以下の二輪車(原付一種および原付二種)、軽車両、ミニカー、歩行者は通行禁止です。
箱根ターンパイクは、カーブの最小半径が100 mと緩やかで、勾配も比較的穏やかです。ただし、下り坂ではエンジンブレーキの使用を促す標識や、緊急時の衝突停止用の砂山(緊急避難所)が設置されています。沿線には多くの展望台があり、相模湾や初島、伊豆大島を望むことができる他、終点付近の「大観山スカイラウンジ」からは、芦ノ湖や富士山を一望することができます。早春には、早川側から約4キロメートル進んだ場所で、桜のトンネルを楽しむことができます。
2002年(平成14年)の報告によると、箱根ターンパイクの1日平均通行台数は3,196台であり、営業収支比率は98.8 %と、支出が収入をわずかに上回る赤字事業路線となっています。しかし、私道であることから全線を貸切にすることも可能で、CM撮影や新車の試乗会などに利用されることが多いです。過去には、ポルシェ・962C、ポルシェ・919 tribute、ホンダ・RC213Vなどが貸切運用で使用されました。2017年からは、全線を貸し切って「激坂最速王決定戦」が開催され、「仮想箱根5区」として調整目的で参加する大学生ランナーもいます。
2019年(令和元年)10月1日現在の通行料金は以下の通りです:
料金所付近ではUターンができない点に注意が必要です。また、過去には次世代型料金収受システム(IBAサービス)が導入されていましたが、2019年3月で終了し、2022年3月28日からはETCXサービスが導入されています。このサービスの利用には会員登録が必要で、利用時には一旦停止する必要があります。
箱根ターンパイクの営業時間は、全線一律で5:30 - 22:30(最終入場時間 22:00)となっており、夜間は全線が封鎖され通行できません。かつては路線ごとに営業時間が異なっていましたが、現在は統一されています。
箱根ターンパイクは元々東急グループの開発計画に基づいて建設され、長年、東急ターンパイク株式会社が保有・運営していました。しかし、赤字続きのため、2004年3月にオーストラリアの投資会社・マッコーリー銀行グループが設立した箱根ターンパイク株式会社に営業権が譲渡されました。その後、2014年4月25日には、箱根ターンパイク株式会社が中日本高速道路(NEXCO中日本)の子会社となり、現在の運営体制となっています。
箱根ターンパイクの開発は、1954年(昭和29年)3月5日に東京急行電鉄が道路運送法に基づき、渋谷 - 江ノ島間の一般自動車道「東急ターンパイク」を免許申請したことから始まります。その後、1957年には藤沢 - 小田原間の一般自動車道「湘南ターンパイク」が申請され、1960年に箱根ターンパイクの事業免許が取得されました。
1965年(昭和40年)に大観山線が開通し、1967年には十国線が開通しました。その後、経営悪化に伴い、1972年に東京急行電鉄が東急ターンパイク株式会社の経営を引き継ぎました。2004年には、東急ターンパイク株式会社の経営が箱根ターンパイク株式会社に譲渡され、運営が移管されました。
2007年には東洋ゴム工業株式会社がネーミングライツを取得し、道路名称が「TOYO TIRES ターンパイク」となりました。その後、2014年には中日本高速道路が箱根ターンパイク株式会社を買収し、2018年にはアネスト岩田株式会社がネーミングライツを取得、現在の「アネスト岩田 ターンパイク箱根」という名称が使用されています。また、同年から自動車道ナンバリング「D18a」「D18b」も導入されています。
箱根ターンパイク沿線には、多くの休憩施設が点在しています。代表的な施設として、大観山スカイラウンジがあります。この施設はネーミングライツにより「TOYO TIRES ビューラウンジ」や「MAZDAスカイラウンジ」と名称が変更されましたが、2018年3月以降は「アネスト岩田スカイラウンジ」となっています。この施設では、1階にフードコート、2階に展望ラウンジ