電車とバスの博物館は、神奈川県川崎市宮前区に位置する東急電鉄が運営する鉄道保存展示施設です。東急田園都市線宮崎台駅が最寄り駅で、博物館は田園都市線の高架下にあります。博物館への入り口は、駅改札前からもアクセス可能です。
この博物館では、電車やバスに関連する保存・展示を行っており、訪問者は電車やバスの運転シミュレーター、そして飛行機 (YS-11) の操縦シミュレーターを体験することができます。ただし、2016年のリニューアルに伴い、モハ510形電車とYS-11のシミュレーターは終了しました。
電車とバスの博物館は、歴史的な鉄道車両やバスを展示しているだけでなく、各種シミュレーターや体験型の展示が特徴的です。特に、運転シミュレーターは、リアルな運転体験を提供し、訪れる人々に人気があります。
電車とバスの博物館は、1982年(昭和57年)4月3日に東急電鉄創立60周年を記念して、川崎市高津区の高津駅高架下に開館しました。当時の入館料は、大人も子供も10円という非常にリーズナブルな価格でした。
その後、1991年(平成3年)には、二子玉川園寄りに3号館が開設され、ホール・図書室・売店が移設されました。この時期には、東急コーチとYS-11のフライトシミュレーターも新設され、高津駅前に展示されていたデハ204が休憩所として開放されました。
2002年(平成14年)には、田園都市線複々線化工事のため一時休館しましたが、翌年の2003年(平成15年)3月21日に現在の宮崎台駅に移転し、再オープンしました。この移転を機に、リニューアルも行われ、新たな展示やシミュレーターが追加されました。
2015年(平成27年)9月27日には、リニューアル工事のため一時休館し、2016年(平成28年)2月19日にリニューアルオープンしました。この際、旧「博物館」をA棟、旧「イベント館」をB棟とし、入館料も改定されました。
2019年(令和元年)10月1日には、東急電鉄の鉄軌道事業分割により、本博物館の運営が東急電鉄へ移行しました。
電車とバスの博物館には、多くの歴史的な電車が展示されています。例えば、デハ204形電車は屋内に展示されており、休憩室として開放されています。また、モハ510形電車も展示されており、訪問者はその車内に入ることができます。
デハ204形電車は、廃車後に多摩川園で保存されていましたが、その後、博物館開館前に高津駅の高架下に移設されました。宮崎台への移設後も展示が続いており、現在はA館で展示されています。
モハ510形電車は1989年に復元され、B館に展示されています。高津時代は改札前に展示されていましたが、現在では車内も公開されており、訪問者が内部を見学できるようになっています。
この車両は、先頭車から客室ドア1枚分のカットボディと台車とのセットで展示されています。運転室内の各種操作を行うことができ、車掌体験も可能です。2016年のリニューアル後には、ドア開閉装置を使った操作も体験できるようになりました。
博物館には、東急コーチや路線バスなどのバスも展示されています。日野RB10型バスは、後部の床が透明になっており、エンジンや足回りの構造を見学できます。また、降車ブザーや方向幕の操作も可能です。
東急コーチのシミュレーターは、鷺沼線の区間を収録しており、運転結果をコンピュータで診断・採点することができます。2007年には、ゲーム的な採点方式に変更され、より楽しめる要素が追加されました。
飛行機の展示も行われており、特にYS-11のカットボディが展示されています。この機体は1988年に米子空港でオーバーラン事故を起こしたもので、現在はB館に展示されています。シミュレーターは2016年のリニューアルで撤去されましたが、展示自体は継続しています。
16番ゲージの模型電車を運転できる体験も提供されています。車両の先端にはカメラが設置されており、運転台からの走行風景をモニターで確認しながら運転できます。駅は渋谷、梶が谷、長津田の3駅で構成され、急行通過待避を伴うダイヤもあります。
昭和30~40年代の高津駅旧駅舎を再現した展示もあり、出札窓口の内部まで細かく再現されています。
リニューアル前はイベント館にあった図書室では、鉄道雑誌のバックナンバーや鉄道関連の書籍、ビデオソフトが閲覧可能でした。しかし、2016年のリニューアルに際して図書室は廃止され、一部の鉄道雑誌は本館に移設されましたが、古いバックナンバーや単行本、ビデオソフトは公開されなくなりました。
Nゲージのレイアウトも展示されており、1回20分200円で運転を楽しむことができます。また、自分の車両を持ち込んで運転することも可能です。
2016年のリニューアル以前は「ラッピーちゃん」というウサギをモチーフにしたキャラクターがマスコットとして使用されていましたが、リニューアル後は「のるるん」と「ノッテちゃん」が新たにマスコットキャラクターとして採用されました。