厄除けで有名で、真言宗関東三山の一つにも数えられる名刹です。特に正月三が日には全国から多くの人が初詣に訪れ、賑わいを見せるお寺です。
正式名称は金剛山 金乗院 平間寺で、厄除けのお寺として全国的に広く知られています。本尊の大師像は海中から見つかったものです。
1813年には徳川幕府 第11代将軍 徳川家斉も公式参拝しています。それ以来一般の庶民から武士階級まで広く信仰されるようになり、関東地方を代表する日帰りできる霊場として多くの人々が訪れています。
一万坪もの広大な境内には、大本堂をはじめ不動堂、八角五重塔、自動車交通安全祈祷殿、遍路大師像、新四国霊場お砂踏場、大本坊、信徒会館、中書院、鐘楼などが建っています。
門前仲見世では久寿餅、切り飴、ダルマなどの名物が販売されています。
また、7月には川崎大師風鈴市が開催され、全国から風鈴が集まり、涼しげな音が鳴り響きます。
大本堂では毎日信徒の諸願成就を祈る護摩祈祷が行われています。
歴史
平間寺は、真言宗智山派の大本山で、1128年に創建されました。山号は金剛山で、院号は金乗院(きんじょういん)。川崎大師の通称で知られています。
平間兼乗が海中へ網を投げ入れたところ、弘法大師(空海)の木像を引き揚げました。平間兼乗は木像を清め、供養するために小堂を建てたとされています。
高野山の尊賢上人が木像に纏わる話を聞き、平間兼乗と力をあわせ、1128年に平間寺を創建しました。
1813年には第11代将 軍徳川家斉が厄除けを願って公式参拝し、それ以来一般の庶民から武士階級まで広く信仰されるようになりました。
昔、江戸から川崎大師までの距離は五里(約19.6km)といわれ、足の達者な参詣客は日帰りで来ることができましたが、一般の参詣客には無理でした。
そのため、表参道には立派な旅館や料理屋が立ち並び、みやげ物屋などの商店がそれらの建物に囲まれるように並んでいました。はまぐりと野菜の味噌仕立ての川崎大師の名物「蛤鍋(はまなべ)」が人気を博していました。
仲見世通りも含め、現在の姿が形づくられたのは明治20年代のことでした。
1899年には平間寺への参詣のため大師電気鉄道(現在の京急大師線)が開業しました。近代以降、川崎大師は初詣の発祥地として知られ、鉄道会社やメディアのプロモーションにより全国的なブームとなりました。
門前町も参詣客が増えて大いに賑わったと伝えられています。しかし、戦争時の空襲により往時の町並みのほとんどが消失してしまいました。しかし、戦後に表参道と仲見世通り全体の発展を目指す取り組みが始まり、今日のように活気に満ちた姿が取り戻されました。
毎年の正月には大変な賑わいとなり、2012年には296万人の参拝客を記録し、全国で3番目に多い初詣地となりました。
10年に1度、大開帳が行われ、参拝者には「南無阿弥陀仏」と手刷りされた特別な護符「赤札」が授与されます。次回は2024年に開催予定です。
川崎大師 仲見世通り
川崎大師 平間寺の大山門から約200メートルにわたって両側にお店が並ぶ、昔ながらの商店街です。
30軒以上の名店や老舗が元気なかけ声と共に、名物のとんとこ飴や久寿餅などが販売しています。
お参りの後に食事を楽しんだり、川崎大師に関連したお土産を買ったりする参拝客や観光客で賑わっています。
大山門の近くにある「住吉」は、縁起の良い川崎大師名物「久寿餅(くずもち)」を販売する老舗のお店です。もっちりとした食感に繊細な味わいで、和モダンの喫茶が店内にあり、できたての味が楽しめます。
隣の「かどや」は、「必勝」「健康」といった願いが込められた「開運だるま」の専門店です。
明治42年(1909年)から創業の老舗堂本製菓の「大師巻」は、縁起物とも呼ばれ煎餅のサクッと感、海苔のパリッと感に醤油たれの甘辛味と、あっさりとした塩味が相性抜群の海苔を手巻きした逸品です。
創業明治初年「松屋総本店」では、代々伝わる水飴にハーブのエキスを入れた「せき止飴」や、もち米の柔らかい切飴「さらし飴」などが人気。
「評判堂」では門前の入口で「とんとん」飴切りの実演販売をしていて、包丁でトントコと飴を切る音が心地よく響いています。
その他にも、川崎大師の名物や縁起の良い食べ物が並び、ゆっくりと美味しい食事を楽しんだり、楽しくお土産を選ぶことができる商店街です。
諸堂・伽藍
大本堂:1964年に完成し、厄除弘法大師を祭っています。内部には稚児大師、救世観音像、不動明王、愛染明王、金剛界曼荼羅、胎蔵界曼荼羅が祀られ、日中には諸願成就のための護摩供が行われます。
大山門:1977年に開創850年記念事業として完成しました。上層部は経庫となっており、写経会で写経された経文や奉納された写経が保管されています。
不動堂:1890年に創建され、1964年に再建されました。本尊の不動明王は成田山新勝寺から勧請され、関東三十六不動霊場第7番、武相不動霊場第1番札所です。
不動門:戦後、第43世隆超和上により福島県の有縁の地より移設された門です。現在の大山門が建立された後は不動門として利用されています。
薬師殿:1963年に創建され、1970年にインド風の堂宇に建て替えられました。弘法大師、不動明王、般若守護十六善神を祀っていましたが、2006年に新祈祷殿に移転し、「薬師殿」として新たに落慶されました。
中興塔(八角五重塔):1984年に弘法大師1150年御遠忌・大開帳記念として完成しました。八角形が特徴の堂宇で、特定の日に内部が拝観できます。
経蔵:2004年に中国最後の木版代大蔵経と言われる「乾隆版大蔵経」を7240冊収蔵するために完成しました。
福徳稲荷堂:大本堂と不動堂の間に位置し、太平洋戦争を潜り抜け残った唯一の堂宇です。
聖徳太子堂:聖徳太子を祀る堂です。
清瀧権現堂:京都・醍醐寺より勧請された清瀧権現を祀る堂です。
鐘楼堂:大晦日の除夜法楽や特定の日に梵鐘が打たれる堂です。
大本坊:寺務所として機能し、一般信徒でも拝観できます。
信徒会館:様々な用途で利用される建物で、ステンドグラスや噴水が特徴的なロビーがあります。
中書院:茶室がある建物で、信徒接待にも使用されます。
金剛閣:正月期間中に護摩札の申し込み受付所として使用されます。
護持志納受付所・お護摩受付所:護摩札の受付所であり、応接や信徒接待にも利用されます。
清浄光院:一般の信徒は立ち入れない場所です。
墓地:檀徒の墓地で、北の湖敏満や川崎弘子の墓所があります。
遍路大師像:弘法大師の立像で、周囲に新四国
本堂扉開放時間
4月~9月 5:30~18:00
10月~3月 6:00~17:30
無休
無料
電車: 川崎大師駅から徒歩で5分
車:大師インターから