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横浜市歴史博物館

(よこはまし れきし はくぶつかん)

横浜市歴史博物館は、神奈川県横浜市都筑区中川中央に位置し、横浜の歴史を深く知ることができる博物館です。隣接する大塚・歳勝土遺跡(国の史跡)は、弥生時代中期の大規模な環濠集落跡として有名です。遺跡内には、竪穴住居7棟をはじめ高床式倉庫、型取り遺構、木橋などが復元してあります。

常設展示室の構成

原始I - 自然の恵みの中で生きる

「原始I」の展示室では、約三万年前から約二千四百年前までの先土器時代と縄文時代の横浜の歴史を紹介しています。この時代は、農耕がまだ発展していない時期であり、人々は自然の恵みを頼りに生活を営んでいました。

先土器時代の展示

先土器時代の展示コーナーでは、市内最古の人類生活跡が発見された矢指谷遺跡(旭区)の地層断面模型が展示されています。また、ナウマンゾウの頭骸骨やヤベオオツノジカの角も展示され、その迫力ある大きさに驚かれることでしょう。これに加え、本物の石器や石器の使い方を示す模型もあり、氷河時代の自然環境と、狩りを中心とした先土器時代の生活が具体的に理解できます。

縄文時代の展示

縄文時代のコーナーでは、氷河時代が終わり、気候が急激に温暖化する中で展開された人々の生活が紹介されています。展示室の中央には、市内を代表する縄文時代のムラである南堀貝塚(都筑区)の大型模型が展示されています。さらに、縄文土器の誕生の謎や狩猟、漁労、採集活動などの生活様式が実物やパネルで展示されており、茅ヶ崎貝塚(都筑区)の展示物も目を引きます。

原始II - 稲作と争いのはじまり

「原始II」の展示室では、大塚・歳勝土遺跡(都筑区)を中心に、約二千四百年前から約一千七百年前の弥生時代の横浜の歴史が紹介されています。この時代は、稲作が生活の中心となり、金属器の使用が始まった時期でもありました。

弥生時代の生活と争い

弥生時代には、新しい技術の導入により人口が増加し、大きなムラが形成されました。しかし、水田やコメ、金属器などの財産を巡って人々の間で争いが増えた時代でもあります。展示室の中央には、大塚・歳勝土遺跡の大型模型が設置され、弥生時代のムラの象徴的な風景が再現されています。

展示物の詳細

展示室左側には、稲作を中心とした弥生時代の生業に関する展示物が並び、正面では環濠集落内での暮らしぶりが模型で再現されています。右側では、環濠集落の原形や弥生土器の交流についての展示も行われています。

古代 - 古代国家の誕生の中で

「古代」の展示室では、四世紀から十二世紀までの横浜の歴史が紹介されています。この時代は、古墳時代と、律令国家が成立し政治が行われた奈良・平安時代に分けられます。

古墳時代の展示

展示室の中央には、市内西北部に位置した都筑郡衙(青葉区)の復元模型が展示されています。郡衙は地方支配の拠点であり、奈良・平安時代の地域の象徴的な存在です。

奈良・平安時代の展示

正面のコーナーでは、古墳時代と奈良・平安時代のムラの様子や生活が発掘資料を元に紹介されています。また、古墳に捧げられた品々や、鉄製の農具や武具、須恵器・土師器などの実物も展示されています。さらに、信仰や祭り、墓地の様子、役人とムラ人との関わりなども詳しく展示されています。

中世 - 戦乱の中に生きる

「中世」の展示室では、十二世紀末から十六世紀におよぶ鎌倉時代から室町時代の横浜の歴史が紹介されています。この時代は、武士による政治が始まり、社会が大きく変動した時期です。

六浦湊と交易

展示室の中央には、中世横浜の海の玄関口であった六浦湊(金沢区)とその周辺の地形を復元した大型模型が展示されています。六浦は、鎌倉幕府の外港として中国との貿易や江戸内湾の交易で栄え、多くの武士や商人が集まる賑わいを見せました。

鎌倉・室町時代の展示

左側のコーナーでは、鎌倉時代から室町時代までの人と物の流れが展示され、正面のコーナーでは、中世の人々が使った生活と遊びの道具や物の値段のパネルが展示されています。また、上行寺東やぐら群遺跡や十王信仰に関する展示も行われており、中世の生活と信仰の様子が分かるようになっています。

戦国時代の展示

右側のコーナーでは、戦国時代における土地開発の様子が鶴見寺尾郷(鶴見区)を中心に展示され、中世の村の分布や「横浜」という地名が初めて表れた文書なども紹介されています。また、戦にかり出された庶民の生活や、戦場での具体的な状況が模型で再現されています。

近世 - 平和の中に生きる人々

「近世」の展示室では、戦国時代が終わり、天下が統一された十六世紀末から横浜が開港する十九世紀半ばまでの歴史が紹介されています。この時代、江戸幕府による全国支配が行われ、社会は比較的安定しました。これまで戦いへ向けられていたエネルギーは、耕地の開発へと向けられるようになりました。

近世の生活と発展

展示室の中央には、当時の神奈川宿のにぎわいを再現した茶屋「桜屋」の大型模型が展示されています。左側には、近世における市域の耕地開発の中心であった海岸部の新田開発の様子が展示され、吉田新田(中区)の開発に関する装置模型も設置されています。

村の生活と交易

正面のコーナーでは、村での人々の暮らしが展示され、鎮守様のお祭りの様子を再現した「からくり模型」もあります。右側では、神奈川宿や弁財船の模型、店の招き看板などが展示され、東海道を行き交う人々や神奈川宿の繁栄ぶりが紹介されています。

近現代 - 町から都市へ

「近現代」の展示室では、横浜が開港された時期から、激動する現代へと移り変わる横浜の歴史が紹介されています。この時代は、海外との交流が盛んになり、横浜は国際貿易都市として発展していきます。

開港と文明開化

展示室の中央には、開港時の様子が再現されたミニチュア模型が展示され、文明開化の時代における生活と文化の発展が紹介されています。また、馬車道や外国人居留地の街並みが再現され、異文化が共存する中での生活の様子が描かれています。

近現代の産業と文化

右側のコーナーでは、横浜における産業の発展、特に生糸貿易や機械工業の様子が展示されています。正面のコーナーでは、近現代の文化や芸術が紹介され、横浜が国際都市として成長していく過程がわかるようになっています。また、当時の新聞や写真などの資料も展示されています。

特別展とイベント

横浜市歴史博物館では、常設展示に加えて、定期的に特別展や企画展が開催されています。これらの展示では、特定のテーマに焦点を当て、横浜の歴史や文化をより深く学ぶ機会が提供されます。また、歴史に関する講演会やワークショップなどのイベントも開催され、子どもから大人まで幅広い世代が楽しめる内容となっています。

アクセスと利用案内

横浜市歴史博物館へは、横浜市営地下鉄ブルーライン「センター北駅」から徒歩約5分と、非常にアクセスが便利です。博物館は月曜日を除く平日と週末に開館しており、入館料も手頃です。詳細な開館時間や料金については、公式ウェブサイトでご確認いただけます。

まとめ

横浜市歴史博物館は、横浜の歴史を知るための貴重な情報源であり、展示物やイベントを通じて幅広い知識を得ることができます。特に、横浜の地域性や文化に興味がある方にとって、訪れる価値のある場所です。ぜひ一度足を運んで、横浜の歴史を体感してみてください。

Information

名称
横浜市歴史博物館
(よこはまし れきし はくぶつかん)

新横浜・横浜市北部

神奈川県