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陣ケ下渓谷

(じんがした けいこく)

陣ケ下渓谷は、横浜市保土ケ谷区に位置し、横浜で唯一「渓谷」として知られる自然豊かな谷戸です。この渓谷は帷子川の支流である市沢川に沿って広がり、都市の喧騒から離れた静かな自然環境を提供しています。地元では、貴重な緑地として親しまれています。

地理と歴史: 和田義盛の伝説

陣ケ下渓谷の名は、鎌倉時代の武将、和田義盛がこの地で狩の陣を張ったことに由来するとされています。渓谷周辺は、環状2号線の整備に伴い都市公園(風致公園)として整備され、2004年(平成16年)4月に「陣ケ下渓谷公園」として一般に公開されました。現在、この公園は横浜市水道局西谷浄水場の周囲に広がる住宅街の中に位置しており、都市部に残る貴重な自然環境を保護しています。

渓谷の水源と環境

陣ケ下渓谷は、林の中に点在する湧き水によって潤され、横浜という都市にありながらも清らかな流れを保っています。ただし、上流には住宅地があり、生活排水が混入することもあるため、冬場など湧き水が少ない時期には泡が立つこともあります。渓谷の明確な源頭は知られていませんが、周辺の民有地や住宅地からの雨水、横浜市水道局西谷浄水場からの濾過水、保土ケ谷高校遊水池からの流入水などが水源となっています。かつては、地下水からの湧出を主な水源としていましたが、周辺の開発により現在の状態へと変わりました。

陣ヶ下高架橋: 渓谷を跨ぐ優美な構造物

陣ヶ下高架橋は、環状2号線の高架道路を陣ケ下渓谷の上を通すために建設された橋で、PC中空床版連続ラーメン橋という形式で設計されています。この橋の建設にあたっては、渓谷の自然環境を損なわないよう配慮され、上下線を分離して森の中への日照を確保し、基礎も深礎基礎とするなどの工夫がなされています。結果として、橋の間からはもともと生えていた木々がそのままの姿で成長しており、自然と人工構造物が見事に調和しています。

この高架橋は、その優美なデザインと自然との調和が評価され、2001年度には土木学会田中賞、さらに2003年度には土木学会デザイン賞の最優秀賞を受賞しました。また、高架下のスペースは「陣ケ下渓谷ひろば公園」として整備され、渓谷を訪れる人々の憩いの場となっています。

周辺の見どころ

陣ケ下渓谷公園の周辺には、自然だけでなく歴史的・文化的な見どころも数多くあります。以下にその一部をご紹介します。

西谷浄水場と横浜水道記念館

西谷浄水場は横浜市の水道供給を支える重要な施設であり、その隣には1987年(昭和62年)に開設された「横浜水道記念館」があります。この記念館は、日本最初の近代水道である「横浜水道」に関する資料を展示しており、横浜の水道の歴史を学ぶことができます。

神社仏閣: 歴史を感じる場所

陣ケ下渓谷の周辺には、地元に根付いた神社や寺院が点在しています。

まとめ: 都市に息づく自然と歴史

陣ケ下渓谷公園は、横浜という大都市の中にあって、自然の豊かさと歴史の深さを感じることができる貴重な場所です。公園内を散策しながら、横浜の自然と歴史に思いを馳せる時間は、訪れる人々にとって心の癒しとなることでしょう。ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。

Information

名称
陣ケ下渓谷
(じんがした けいこく)

新横浜・横浜市北部

神奈川県