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宮ヶ瀬ダム

(みやがせ)

宮ヶ瀬ダムは、日本の神奈川県に位置する、一級水系である相模川水系中津川に建設された重力式コンクリートダムです。このダムは、愛甲郡愛川町半原、相模原市緑区青山、愛甲郡清川村宮ヶ瀬の3つの市町村にまたがる広大な地域に位置しており、形成されたダム湖は「宮ヶ瀬湖」として知られています。宮ヶ瀬ダムは2000年(平成12年)に竣工し、治水を主な目的とする特定多目的ダムとして機能しています。

宮ヶ瀬ダムの概要

宮ヶ瀬ダムは、神奈川県内の相模川水系中津川に建設された重要なインフラ施設です。このダムは首都圏最大級の規模を誇り、その高さは156メートル、総貯水容量は約2億トンに達します。関東地方では、奈良俣ダム(158.0m)に次ぐ高さを誇り、浦山ダム(156.0m)と並んでいます。

宮ヶ瀬ダムの建設は、洪水調節、農業用水の供給、河川生態系の保全、そして上水道の供給など、多岐にわたる目的を持っています。また、愛川第一発電所を併設し、最大出力24,000kWの水力発電も行っています。

沿革

宮ヶ瀬ダムの建設は、相模川流域での人口増加と、それに伴う上水道や工業用水道の需要の増加に対応するために始まりました。特に中津川流域の治水の重要性が指摘され、ダムによる洪水調節が計画されました。

当初は「中津川ダム」として計画されていましたが、後に「宮ヶ瀬ダム」として名称が変更されました。1969年(昭和44年)に建設省(現・国土交通省)が宮ヶ瀬ダム建設計画を発表し、その後1971年(昭和46年)より特定多目的ダム事業として着工されました。難航した補償交渉を経て、31年後の2000年(平成12年)12月に完成しました。

2019年(令和元年)10月12日には、令和元年東日本台風(台風19号)による降雨の影響で、ダム運用開始後初めての異常洪水時防災操作(緊急放流)が検討されました。

観光拠点としての宮ヶ瀬ダム

宮ヶ瀬ダムは、完成以降、地域の観光拠点としても整備され、多くの観光客が訪れるスポットとなっています。首都圏から50km圏内に位置し、神奈川県立あいかわ公園と共に、ピクニックなどの行楽地として人気があります。

ダムのインクラインを利用したケーブルカーは、ダム天端と直下部を結び、観光客に人気の施設となっています。また、観光放流は4月から11月の特定日に実施されており、ダムからの豪快な放流が見物です。

宮ヶ瀬湖では夏の花火大会や12月のクリスマスツリーの点灯式など、季節ごとのイベントも開催され、多くの人々が訪れます。湖畔には「宮ヶ瀬水の郷」やビジターセンターなどが整備されており、さまざまなレジャー施設が充実しています。

2005年(平成17年)には、財団法人ダム水源地環境整備センターが指定する「ダム湖百選」に選定されました。

宮ヶ瀬ダムの目的

宮ヶ瀬ダムは、多目的に利用されているダムであり、以下のような目的を持っています。

洪水調節と治水

中津川および相模川中下流部の洪水調節が主な目的です。特に人口密集地である厚木市などの地域に対して、洪水被害を防ぐための重要な役割を果たしています。

農業用水の供給と河川維持

沿岸農地への農業用水の供給や、中津川における河川生態系の保全を目的とした河川維持放流も行っています。これにより、地域の農業と自然環境のバランスを保っています。

上水道の供給

宮ヶ瀬ダムは、横浜市、川崎市、相模原市など、神奈川県全体の2/3の地域、県人口の90%に上水道を供給しています。これにより、地域の生活に欠かせない水資源を安定的に供給しています。

水力発電

宮ヶ瀬ダムに併設された愛川第一発電所では、最大出力24,000kWの水力発電が行われています。さらに、ダム直下流には逆調整ダムである「宮ヶ瀬副ダム」(石小屋ダム)があり、洪水調節に加え、愛川第二発電所での水力発電(1,200kW)も行われています。

補償と住民の移転

宮ヶ瀬ダムの建設に伴い、300戸が水没することから、当時は猛烈な反対運動が起こりました。しかし、補償交渉は城山ダム建設時と同様に、代替地造成による補償内容で妥結しました。移転先として宮の平地区や厚木市宮の里、相模原市に代替造成地が建設され、住民の生活再建が図られました。

移転を余儀なくされた住民は、清川村、津久井町(当時)、愛川町の3町村で1,136名にのぼります。また、移転した住民の中には、後にプロ野球選手として活躍した多村仁志さんも含まれています。

アクセス情報

道路でのアクセス

宮ヶ瀬ダムへのアクセスは、国道412号「半原日向」交差点や神奈川県道514号宮ヶ瀬愛川線からダム方面へ進むルートが一般的です。駐車場は神奈川県立あいかわ公園の駐車場が利用できますが、土日祝日やGW、夏休み期間中は有料となります。

公共交通機関でのアクセス

小田急電鉄小田原線の本厚木駅から、神奈川中央交通バスを利用し、半原行または宮ヶ瀬行でアクセス可能です。JR横浜線・相模線・京王相模原線の橋本駅北口からもバスでアクセスできます。

宮ヶ瀬ダムが登場する作品

宮ヶ瀬ダムは、漫画『ダムマンガ』や特撮ドラマ『ウルトラマンネクサス』、『ウルトラマンメビウス』、『ウルトラマンZ』など、数多くの作品に登場しています。また、スーパー戦隊シリーズの『百獣戦隊ガオレンジャー』や『獣拳戦隊ゲキレンジャー』でも舞台として使用されています。

Information

名称
宮ヶ瀬ダム
(みやがせ)

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